以前、カテゴリー7のLANケーブルは要らないという記事を書きました。
結論は変わりませんが、技術的な部分で色々と間違っていたので改めて書き直します。
一部内容が誤っていた前回記事
この記事では現役のネットワークエンジニアが以下の内容をわかりやすく解説しています。
- カテゴリー7(Cat7)系/カテゴリ8(Cat8)準拠を謳っている『市販の』LANケーブルは不要
- 接続機器・回線の速度に合わせたLANケーブル選びの最適解
コンテンツ
『市販の』カテゴリー7系/8のLANケーブルは不要
結論から書くと、
- 『市販の』Cat7系/Cat8系の対応・準拠を謳っているLANケーブルは、購入してはいけません。
なぜここまで言い切っているのかと疑問に思うでしょう。
その背景として、Cat7系/Cat8のLANケーブルは、
- 『市販品は』規格に準拠していない
- 規格に準拠しているものは、市販のネットワーク機器へ物理的に接続不可
という、2点の大きな理由があります。
Cat7系、Cat8準拠を謳う『市販品』は規格に準拠していない
家電量販店で販売されている『市販の』Cat7やCat8への対応・準拠を謳っているLANケーブル。
実際には、これらのLANケーブルは規格に準拠していません。
技術的に細かい部分はありますが、わかりやすい決定的な問題として、
- 規格に準拠しているCat7のコネクタ(LANの端子)は『GG45』『TERA』『ARJ45』のいずれか
- 規格に準拠しているCat8のコネクタは『GG45』『TERA』『8P8C』のいずれか
- 『市販の』Cat7系/Cat8準拠を謳うケーブルのコネクタは『RJ-45』
という物理的な違いがあります。
各コネクタの形状は、以下資料に掲載されている写真を見ると、違いが一目でわかります。
- LAN配線の疑問にお答えします LAN配線技術セミナー2018 (JEITA)
※PDFファイル
※写真はp10に掲載
規格に準拠したCat7系、Cat8系のLANケーブルは、従来のネットワーク機器に接続できない
先述の通り、規格に準拠したCat7系/Cat8に準拠したLANケーブルは、コネクタ形状が異なります。
現状、家庭向けネットワーク機器(無線LANルーター、スイッチングハブなど)が実装しているコネクタは、『RJ-45』です。
つまりは、規格に準拠したCat7系/Cat8系のLANケーブルは、
- 『RJ-45』のコネクタではないので、従来の家庭向けネットワーク機器には接続できない
のです。
※ちなみに、企業向け製品でも、Cat7系やCat8系のLANケーブルに対応している製品は見かけません。
接続機器・回線の速度に合わせたLANケーブル選びの最適解
LANケーブルは、接続機器や回線の速度によって、最適なLANケーブルのカテゴリーが違います。
簡単にまとめると、
- 10Gbps接続:
→ カテゴリー6A (Cat6A)、カテゴリー6 (Cat6) - 5Gbps接続:
→ カテゴリー5e (Cat5e)、カテゴリー6(Cat6) - 2.5Gbps接続:
→ カテゴリー5e (Cat5e)、カテゴリー6(Cat6) - 1Gbps接続:
→ カテゴリー5e (Cat5e)、カテゴリー6(Cat6) - 1Gbps未満の接続:
→ カテゴリー5e (Cat5e)
という感じになります。
数字が上がるごとに性能・価格も上がるので、自身の環境に合わせた最適なLANケーブルを選びましょう。
10Gbpsの接続にはCat6AのLANケーブルが最適、次点でCat6
10Gbpsの接続に対応している市販のLANケーブルはCat6A、Cat6です。
10Gbps対応のインターネット回線や、無線LANルーター、パソコンを利用するあなたには、こちらが最適解です。
なお、Cat6A、Cat6では、10Gbpsで通信できるケーブル長が違います。
- Cat6A:最長100m
- Cat6 (ケーブルを束ねない場合):最長55m
- Cat6 (ケーブルを束ねる場合):最長37m
このケーブル長に合わせて、自身に最適なLANケーブルを選択してみてくださいね。
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1Gbps、2.5Gbps、5Gbps の接続にはCat5e、Cat6のLANケーブル
1〜5Gbpsの接続に最適なLANケーブルは、Cat6、Cat5e の2種類です。
ケーブル長はいずれも最長100mで通信可能です。
1Gbps未満の接続にはCat5eのLANケーブルが最適
1Gbps未満の接続には、Cat5eが最適です。
Cat6でも問題はないのですが、価格面を考慮するとCat5eで十分という判断です。
カテゴリー別おすすめLANケーブル
Cat6A (STP) ケーブル
STP (Shielded Twisted Pair) ケーブルは、複数本束ねたときなど、隣接しているケーブルとのノイズを防止できます。
家庭用のCat6Aケーブルでこのタイプの必要性はあまり無いですが、こだわりがあるならこちらを検討するのもアリですね。
Cat6A (UTP) ケーブル
UTP (Unshielded Twisted Pair) ケーブルは、STPと異なり内部にシールドを設けていないLANケーブルです。
家庭用のCat6Aケーブルは、こちらで十分だと思います。
Cat6 ケーブル
Cat5e ケーブル
まとめ
この記事では、
- 『市販の』Cat7系/Cat8のLANケーブルが不要な理由
市販品は規格に準拠していない
規格に準拠しているものは従来製品と接続不可 - 接続機器・回線の速度に合わせたLANケーブル選びの最適解
10Gbps接続 → Cat6A / Cat6
1Gbps、2.5Gbps、5Gbps → Cat6 / Cat5e
1Gbps未満 → Cat5e
について書いてきました。
LANケーブルの購入を検討しているあなたが、最適なLANケーブルを選べるよう一助になれば幸いです。